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日立が目指す「社会イノベーション事業」

取材の現場 日立が目指す「社会イノベーション事業」 障害は日立文化と安定感

障害は日立文化と安定感

産業界では東芝(6502)の行方に注目が集まっているが、東芝と並び称されていた日立製作所(6501)は注目されていない。売上高は前期10兆円を超え、ソニー(6758)やパナソニック(6752)、三菱電機(6503)などを上回る電機業界でトップだが、時価総額はこれらを下回っており、業績の割には評価の低い会社である。

「その理由は日立建機(6305)、日立化成(6581)、日立工機(6581)、日立金属(5486)といった優良会社を抱えているのに、そのソリューションを有効に活用していない。そうした点が投資家からの評価を下げている」(アナリスト)。

その日立は、グループ一丸となって「社会イノベーション事業」で飛躍を図ることを宣言している。社会イノベーションとは、日立が得意としてきた社会インフラ事業にIoT技術を用いて機動的に展開させるというもの。昨年公表した中期計画によれば、AI技術で需要を予兆して生産計画を立て、デジタルツインなどの技術で最適な製造を行い、在庫はロボット倉庫で管理し、スマート物流で商品を届け、フィンテックで決済をするのだという。

こうした事業は、それこそ東芝が目指している社会インフラ事業と同じものでもあり、いうまでもなくGEやシーメンス、IBMといったグローバル大手が取り組んでいるものでもあり、目新しさはない。

「他社と違うのは、日立はグループ企業で既に鉄道や建設機器、産業機械の製造からエネルギーや金融事業などの実業を行っており、個々の事業のノウハウは習得している。IBMなどは今からトラックへの荷積みや電車運行の仕組みを勉強している段階。日立には圧倒的なアドバンテージがある」(日立関係者)。

ここでやっと日立は建機や工機、金属といったグループ会社のソリューションを生かすということのようだ。

「とはいうが、日立は〝野武士集団〟と称されており、その理由は工場独立採算制を敷いていたことにある。個々の工場長が棟梁であり、だからこそ野武士と言われていた。既に独立採算制は改めたというが、果たしてその文化まで改革できたのか。それができないと、グループ連携に齟齬をきたし、日立が目指す社会イノベーション事業のスピードが損なわれかねない」(電機担当記者)。

日立が強みにしている安定感。それが日立の戦略のネックとなっているというのだ。

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