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石油・石炭製品(2017年2月)

東京証券取引所では上場した各企業を、基本的に最も売上高が大きい事業を基準に33業種に分類している。その中でも東証1部に上場している銘柄を業種ごとに算出した指数が「東証業種別株価指数」で、主に時価総額の大きい銘柄に左右されやすい。ここから業種ごとの動向を読み取れるため、株式市場全体を見るにあたっても重要な指数と言えよう。今回は「石油・石炭製品」に焦点を当てる。

「石油・石炭製品」とは

「石油・石炭製品」に分類される銘柄は全部で13銘柄、そのうち東証1部は11銘柄。石油は主に製油を行い、それを製品として販売。潤滑油や動植物油もここに含まれる。石炭は石炭の輸入販売を行う産業で、採掘業に力を入れている鉱業に対し、比較的こちらは輸入販売に力を入れている。

時価総額トップはJXホールディングス

石油・石炭製品の時価総額トップはJXホールディングス(5020)。昨年は英国のEU(欧州連合)離脱により世界的にリスク資産を売る流れが活発化。ニューヨークやロンドンにおける原油先物価格にツラれ一時は751ポイントまで下落したが、それ以上深押しすることはなく、すかさず切り返した。その後は原油相場の上昇に伴い、セクター全体に見直しの目が向けられる展開に。昨年11月から12月にかけての急伸を経て、足元では1100ポイント超と2008年来の水準を回復するに至っている。

OPEC原油減産で光明

原油価格下げ止まりの決定打となったのは、やはりOPEC(石油輸出国機構)総会における減産合意だろう。ロシアのプーチン大統領も10月にトルコを訪問した際に、演説で「原油価格の上昇を目指し、OPECと協力して生産調整に参加する用意がある」と語り、まだ加盟していない産油国への呼びかけを行うなど、減産の決定を歓迎していた。OPECが減産に合意したのは実に8年ぶりのことで、これを受け翌日の業種別上昇率では、1位の鉱業に続き石油・石炭製品が2位にランクインした。後にOPECのバルキンド事務局長は、原油減産合意の履行は『非常に順調』で、世界の原油供給過剰の削減につながっているとの見方を示している。
外部環境の好転が実感された頃、国内では2017年4月に予定していた出光興産(5019)と昭和シェル石油(5002)の経営統合に創業家が突然の反対。当件については今年に入り創業家代理人が辞任しさらに行方が不透明になるなど、問題が長期化している。しかし、業界再編の動きが加速する中、一足先に経営統合を決めたのはJXホールディングスと東燃ゼネラル石油(5012)。公正取引委員会は国内販売の独占が起きない枠組みを求めているため、こうなると出光と昭和シェルの統合問題も早々に解決せざるを得ない状況となってきた。

時価総額ランキング上位3位をピックアップ

JXホールディングス(5020)

石油精製販売でトップ。原油価格の上昇により、今期は3期ぶりとなる営業黒字転換を見通す。1月にはマレーシアにおいて参画しているペトロナスLNG9社が商業生産を開始。JXホールディングスは発行済み株式の10%を取得している。また、米国テキサス州において、老朽化油田からの飛躍的な増産と大気中へのCO2の放出削減を同時に実現するプロジェクトを進めているが、昨年末から主要設備となる世界最大規模のCO2回収プラントの運転を開始している。『パリ協定』発効により、今後はこうした環境問題への取り組みが一層注目されてこよう。同社はENEOS水素サプライ&サービスを設立しているほか、傘下のJX日鉱日石エネルギーでは水素ステーション併設などにも取り組んでいる。2月には株価540円乗せを果たし高値を更新したばかり。その後も依然として高値圏での推移を続けている。

出光興産(5019)

JXホールディングス同様、こちらも今期は3期ぶりの営業黒字転換を予定。昭和シェルとの統合問題については依然難航中だが、公正取引委員会はJXホールディングスと東燃ゼネラル石油との経営統合承認と同時に、出光による昭和シェルの株式取得を承認。少しずつだが自体は終息に向けて動き出しているようだ。元売り大手間の問題に視点が移りがちだが、近年注力している有機EL分野も注目点となりそう。元々有機ELは石油化学製品を原料とした有機物で、同社では2015年に65インチの高精細4K有機ELテレビの国内販売を開始している。今後の事業拡大のため国内外で拠点を拡大中で、中国のパネルメーカーの大半が拠点を構える上海は特に需要密着型の展開が期待される。

東燃ゼネラル石油(5012)

今年4月にJXホールディングスと経営統合、吸収合併により同社は消滅会社となる。新会社グループ発足に向けて着実に準備を進めており、1月には統合効果を早期に得るための組織簡素化として、連結子会社のEMGマーケティングを吸収合併している。前期は原油価格の下げ止まりにより、備蓄している石油製品の在庫評価が改善。経常利益は766億5100万円(前期は2億9400万円の赤字)と3期ぶりの黒字転換を達成した。1月には和歌山工場で火災が発生。現在は有職者による事故調査委員会を設置し調査を進めており、報告書は同社サイトなどで公表予定。14日の決算会見で武藤代表取締役社長は、業績に与える影響について「2ケタ億円の半ばぐらい」と語っており、大きな打撃にはならないことがうかがわれる。株価は決算前日に高値1365円をマーク。経営統合への期待感が依然として高く、高値圏でのもみ合いが続いている。

おわりに

2月21日には、独立系を貫くコスモエネルギーホールディングス(5021)がキグナス石油との資本業務提携契約の締結を発表。国内石油業界の第3極として名乗りを上げた。世界的な動向からも1月の減産が90%に達するなど、需給バランスの改善による原油相場の堅調な推移はしばらく続きそう。原油セクターの先行きにも明るさが感じられる。

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