株の教科書.com

化学(2017年1月)

東証33業種から見る有望銘柄第 ~化学~

東京証券取引所では上場した各企業を、基本的に最も売上高が大きい事業を基準に33業種に分類している。その中でも東証1部に上場している銘柄を業種ごとに算出した指数が「東証業種別株価指数」で、主に時価総額の大きい銘柄に左右されやすい。ここから業種ごとの動向を読み取れるため、株式市場全体を見るにあたっても重要な指数と言えよう。今回は「化学」に焦点を当てる。

「化学」とは?

「化学」に分類される銘柄は全部で214銘柄、そのうち東証1部は132銘柄。原料に化学反応を起こし加工することで製品する産業を指し、主に有機化学工業と無機化学工業に分けられる。事業の幅は広大で、食品トレーなどに使用される樹脂発砲素材や工業用樹脂、内装材などの建材、自動車部品、半導体ウエハ、電池用素材など様々な製品が含まれる。

足元の株価指数動向

繊維製品の時価総額トップは信越化学工業(4063)。株価指数は原油価格の下落に伴い原料ナフサの価格が低下、原料安メリットから株価指数は2015年8月に1600ポイント超えを達成。その後軟調な全体相場に連動し、2016年2月に1181ポイントまで売られた後は、信越化学の好決算を機に7月頃から上昇基調が続く。足元は1640ポイント前後まで上げ足を強めてきた。基本的には原油価格の変動や花粉症シーズン、農薬関連として梅雨入り前などに話題となることが多い業種だが、最近の外部環境からは“半導体”に関連する製品を手掛ける企業に注目が集まりやすい。

第4次革命で市場は活況

半導体市場調査企業の米IC Insightsによると、2016年の専業ファウンドリー市場は11%と2ケタの成長率を遂げたとのこと。IoT(モノのインターネット)や車載の電子化が急速に進んだことにより、DRAMやNANDなどの次世代半導体の需要が旺盛となっている。足元では米国市場で半導体メーカーや半導体製造装置メーカーなどの銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数が高値圏で推移。また、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が公表した北米地域における昨年12月の半導体製造装置BBレシオ(受注高と出荷高の比率)は1.06倍と高水準に達した。国内の大手半導体関連企業の決算発表からも、市場のにぎわいがうかがわれる。

時価総額ランキング上位3位をピックアップ

信越化学工業(4063)

半導体デバイスの基盤となる半導体シリコンウエハーで世界首位。好財務企業としても知られる。グループで手掛ける関連製品は5000種類超にも及ぶ。なお、グループ売上高の7割強を海外が占める同社だが、シリコンウエハーでは日本をはじめ米国、マレーシア、ヨーロッパ、台湾と世界各地に生産拠点を有しており、今後も生産・販売拠点を拡大していく考え。スマートフォン向け需要が堅調な中国や、経済発展によりニーズが高まってきている東南アジアなどでの投資が進んでいくものとみられる。今3月期第3四半期決算は円高進行による為替差損の影響を受けながらも売上高9222億2800万円(前年同期比5.5%減)、営業利益1811億100万円(同11.5%増)と増益で着地。自動車用入力デバイスや半導体ウエハ関連容器が好調な推移を見せている信越ポリマー(79701)をグループ会社に有する点もポイントだ。

花王(4452)

化粧品や化学品などの家庭用品最大手で、トイレタリーでは国内首位。人口増加が続く新興国での乳児向けや、日本を含めた先進国の高齢化による大人用など、紙おむつニーズが世界各国で旺盛。2016年までに10年連続で国内売上No.1を達成したベビー用紙おむつ「メリーズ」においては、現在、日本と中国で流通チャネルの変化に対応した販売構造改革を実施中。同ブランドは中国、インドネシア、ロシアなど海外12カ国の地域で展開しているが、足元ではインドネシアの中間所得層向け現地生産品の「メリーズ」が好調に売上を伸ばしている。今年度策定された2020年に向けた新中期経営計画「K20」では、売上高1000億円ブランドの一つとして位置付け、今後もさらに強化していく方針としている。

富士フイルムホールディングス(4901)

「イメージングソリューション」、「インフォメーションソリューション」、「ドキュメントソリューション」の3つの事業領域で展開。近年はヘルスケア分野に注力しており、昨年12月には総合試薬メーカーである和光純薬工業の買収に加え、ロシア有数の製薬企業であるR―PHARM社と医薬品・医療機器、再生医療分野等における事業提携も締結している。足元ではX線画像診断装置や高解像度の内視鏡システムなどが堅調。このほか昨年11月には台湾で先端半導体材料の新生産工場を稼働させるなど、高機能材料分野も強化中だ。

おわりに

半導体の中でも2015年から話題となっている「車載向け」に関しては特に注目しておきたいところだが、いずれもIoT、自動運転など、物色の矛先が向かいやすいテーマとの関連性が高く、今後も世界的な需要拡大が進むとみられる分野だ。株価は市場環境に左右されやすく、フィラデルフィア半導体株指数や各月の半導体製造装置BBレシオには注目しておきたい。

日本で最も歴史のある証券・金融の総合専門全国紙です。「株式市況」をはじめ「企業ニュース」、「投資信託」「外国為替」「商品先物」など、幅広い投資情報をカバーしています。そのため、個人投資家、機関投資家のほか、全国の証券会社とその支店、全国の取引所と証券各諸団体、上場企業に幅広く愛読されています。
総合評価
(0)
Pocket