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海外の郵政民営化・上場例【第3回】

海外の郵政民営化・上場例【第3回】

国営の独占事業だった「郵政」の民営化や、日本郵政グループの株式上場は、当時の小泉純一郎首相が心血を注いで実現にこぎ着けることになったわけですが、広く海外を見渡せば、郵政民営化・上場自体は決して珍しいことではないことが分かります。

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欧州で始まった民営化の波

欧州で始まった民営化の波

そもそも発端となったのは1980年代の英国・サッチャー政権で、ブリティッシュ・テレコムや英国電力公社などの国営事業民営化を進め、それが1995年のドイツ郵政改革(ドイツポスト、ドイツバンク、ドイツテレコム3社設立)につながり、郵政事業でも民営化、上場の流れが、欧州中心に広がりを見せつつあるようです。

国内においても、既にNTTを皮切りに、JR3社やJTなどの民営化・上場が進展し、当時、郵政は「最後の大物」として残されていました。言うまでもないことですが、官業特有の“親方日の丸”の非効率を廃し、民間と同じ土俵で市場競争の荒波にもまれることで、経済性を高めることができるとともに、政府は株式売却で財政再建を進めることもできます。

物流強化が成長のカギに

物流強化が成長のカギに

主要国で最も早く株式上場に踏み切ったのは、1998年のオランダ、ポストNLで、次いで2000年には、1490年の事業創設から500年余の歴史を持つ、ドイツポストも上場されました。その後も積極的な海外M&A(企業合併・買収)を進めて、成長をたどったドイツポストDHLは、しばしば「郵政民営化の成功例」として取り上げられています。2002年にDHL、2003年にエアボーン、2005年にはエクセルと、グローバルな物流大手を矢継ぎ早に買収し、現在では、米国のUPS、フェデックスを凌駕(りょうが)する世界的な物流大手となったためです。

日本郵政グループが豪州物流大手のトールHD買収したのも同じ流れにあります。

eメールの普及に伴って郵便へのニーズに低迷が続く一方で、ネット通販や電子商取引の普及から、小包などの配送需要が拡大しているのは世界的な傾向です。世界的な上場大手で、ドイツポストDHや英ロイヤルメールも、2014年の郵便取扱量が減少する中で増益を確保できましたが、物流事業の拡大が背景にあります。

ちなみに、ポルトガルのCTTや、また、まだ上場はしていませんが、フランスやニュージーランドの郵政民営化企業のように、金融依存度の高いところもあります。この点では、金融事業が屋台骨を支える日本郵政グループにも通じるところでしょう。全国に張り巡らされた郵便局網の有効活用する戦略です。

おわりに

2015年に上場実現

さて、1998年ポストNL上場以降は、数年に1件のペースでしたが、2013年には、ベルギー、英国、ポルトガルの3カ国で、それぞれ郵政上場が実現し、2015年はいよいよ日本でも、3社同時上場を果たしました。日本郵政グループは、規模的には圧倒的な強者である半面、民業圧迫を避けるための民営化企業特有の制約も残るわけです。次回は、この「強みと弱み」について取り上げてみたいと思います。

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