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繊維(2017年1月)

東証33業種から見る有望銘柄第 繊維製品

東京証券取引所では上場した各企業を、基本的に最も売上高が大きい事業を基準に33業種に分類している。その中でも東証1部に上場している銘柄を業種ごとに算出した指数が「東証業種別株価指数」で、主に時価総額の大きい銘柄に左右されやすい。ここから業種ごとの動向を読み取れるため、株式市場全体を見るにあたっても重要な指数と言えよう。今回は「繊維製品」に焦点を当てていきたい。

「繊維製品」とは

「繊維製品」に分類される銘柄は全部で53銘柄、そのうち東証1部は33銘柄。主に繊維製品や紡績製品を生産する産業で、その他なめし革等も分類される。また、材料としての繊維製品だけでなくアパレルメーカーやウエディングドレス、靴下、スポーツウエアの生産企業もここに含まれる。

時価総額トップは東レ

繊維製品の時価総額トップは東レ(3402)。株価指数は米ボーイング社新型機「777X」向け長期供給契約締結や、東南アジア最大の膜ろ過水道浄水設備への受注決定、ユニクロとの戦略的パートナーシップ強化などの相次ぐ材料浮上に加え決算発表への関心が高まったこともあり東レの株価が上昇。これが寄与し2015年8月には770ポイントをマーク、その後2016年2月の全体相場の悪地合いに押されるまでは高水準での推移が続いた。さらに英国のEU(欧州連合)離脱が市場に大きな影響を与えた同年6月には580ポイントまで落ち込む場面も見られたが、介護分野などでの需要拡大が見込まれるスマートウエア関連銘柄の人気化をきっかけに切り返し、足元ではトランプ次期大統領の当選で為替相場が円高に傾いたことから為替影響を受けない内需関連の見方も強まり700ポイント水準を再度回復してきている。

次世代素材で市場拡大期待

国策による宇宙産業関連の強化や旺盛な航空機需要、また自動運転車の普及促進の動きから、かねて注目を集めているのが次世代素材のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)だ。比重は鉄の約5分の1、強度は10倍以上で「軽い」「強い」「腐食しない」といった特徴から、従来の金属部品の小型化・軽量化・省エネ化の実現を可能とする。主に半導体・液晶製造機器や光学機器、MRIレントゲン撮影用寝台車や搬送機用ロボットアームおよび駆動部、さらにはロケットのノーズコーンやノズルスロート部の断熱材などさまざまな用途で活用されており、今後もその需要はさらに拡大していくとみられている。

時価総額ランキング上位3位をピックアップ

東レ(3402)

炭素繊維では世界首位の合繊大手。NTT(9432)と開発を進めてきた生体の電気信号情報を伝達できる機能素材「hitoe」を用いた心電測定用製品について、医療用途展開を開始したことを発表しスマートウエア関連人気の火付け役となった。このほかにもCFRPのみならず新たな炭素繊維構造材料CFRFを開発したほか、三井物産(1626)、米ヘキサゴンリンカーンと共同で日本での燃料電池車向け炭素繊維強化高圧水素タンク製造・販売について2020年頃からの事業化を企図。2016年3月にホンダ(7267)から発売されている燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ)」には同社の燃料電池スタックの電極基材用カーボンペーパーおよびCFRFが採用されている。

帝人(3401)

ポリカーボネート樹脂やアラミド繊維、炭素繊維など産業資材用繊維が主力。研究開発では次世代エコカー向けに、加熱すると軟化し冷えると固まる熱可塑性樹脂を使用したCFRPをプレス成型することで成形時間を大幅に短縮、世界で初めてCFRPを1分以内で成形する量産技術を確立した。世界的に高い評価を受け、2011年には海外の各テクノロジーイノベーションアワードで数多くの賞を受賞している。当技術や新たに開発した中間材料、接合技術を駆使し車体骨格が全て熱可塑性CFRPのコンセプトカーを制作しており、車体骨格の重量は47㌔㌘と従来の鉄製車体骨格と比べて約5分の1までの軽量化に成功した。

ワコールホールディングス(3591)

婦人下着メーカーで首位級。主なブランドに「ワコール」「ウイング」「ピーチ・ジョン」など。今期は国内事業における原価低減効果が見られたものの卸事業が伸び悩み苦戦。海外事業においては円高の影響から売上が減少し収益悪化に見舞われた。下期は卸事業の生産性向上や小売事業の店舗展開、共通商材の展開で国内事業の収益確保に取り組むとしている。次世代炭素繊維には取り組んでいないがウエルネス事業で展開するスポーツコンディショニングウェア「CW―X」は高いテーピング効果をもたらすとのことからスポーツチェーン店やEC(電子商取引)サイトで順調に推移。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて様々な分野で活躍するアスリートへの提供も開始している。

おわりに

最近では「パリ協定」の発効をきっかけに各自動車や航空機メーカーで軽量化の動きが加速しているが、こうした外部環境も追い風となってくることも容易に想像できよう。現に一つの部材に複数の素材を組み合わせるマルチマテリアル(複合素材)の動きが広まりつつあり。帝人も昨年11月に米CSPを買収、CSPのGFRP(ガラス繊維強化樹脂)と帝人のCFRPを組み合わせさらなる車体軽量化を目指すとしている。

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